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庭のデザインと雑木の庭1

私はよく弟子たちに「庭のデザインはその場の必然性で7割は決まる」というようなことをいっているように思います。もちろん、7割というのは私の個人的な感覚であり厳密な意味でははありませんし、何をもって必然というのか?というものは個々人の物事のとらえかたによって大きく変わるものではあります。

生来、庭というものは単体で成立しうるものではなく、ひとつには建築物を主とした特定の構造物もしくは空間の延長線上に存在するものであり、また、もうひとつにはネイティブアメリカンの言うところの大地に属するものであり、その土地の自然環境や風土に依る存在であると思います。

そのことから、当然のことではありますが、そのような特定の場において構造的、実用的な環境要因とその場を取り巻く生態的な環境要因を読み解き、そこに文化的要因や作り手と施主のパーソナリティが掛け合わされることによってその場における庭のデザインや構成が7割くらいは導き出されるものかと私は思います。

もちろん、人それぞれに感受性の違いにより、その場の必然を探るうえで、その場における環境の読み手の数だけ必然性があり、絶対的な必然とは言い難い物ではありますが、庭にかかわらず、存在感のあるもの、ある種の力のあるものには少なくとも作り手にとっての確信や必然性が確かにあるのだと私は思います。

実際の日本の庭においては文化的、歴史的ににその必然性を多く自然の摂理に求めて成り立っているかと思います。もちろん、そのことは単なる自然の模写だけにとどまらず、自然界の摂理を抽象化し表わしたものや、自然の摂理を踏まえたうえで、摂理より逸脱した乱調に美を見出し、自然を超える存在感を表わそうとしてきたことを含めてのことかと思います。

つづく


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