庭とは
少し前にひょんなことから、弟子たちと「庭とは」という話しになりました。 庭にたずさわる者として、もちろん漠然と日常的に考えていることではあるのですが、我々の職業的には当たり前すぎるほど当たり前の問いや思考であるがゆえにかえってなかなか面白く、その会話の流れで弟子たちに「庭と...
現実、真実、庭。
ものをつくりだすということは対立する概念の狭間で、思考し、かたちにしていくことである。 いわゆるアートと同じように、庭もまた非現実的な世界の描写、表現を通してより深く世界を把握、認識させる力がある。 現実から開放された広がり。それは目の前に広がる現実の極北に位置する理想の世...
引き継ぐものとその先
この数年弟子をとるようになり、自分のなかで庭というもの、庭を生業をすることついて考えることが少し変わってきたような気がする。変わったというよりも物事が以前よりもクリアーに見えるようになったということなのかもしれないし、もしかしたらただ単純に年をとったということなのかもしれな...
きれいなもの
「きれいなものをつくる仕事は絶対になくならないから。いい仕事よ」 幾年か前に私が人として尊敬する方から頂いた言葉です。 その方は何事にたいしても自然で、前向きで、やさしさのある方で、その方の言葉だから私の心に残り続けているのか、どうなのかはわかりませんが、ふとした時に庭の仕...
庭のデザインと雑木の庭3
雑木の庭に関してみてみると、現代においての住環境、自然環境の変化により前記の古典的な中景を主とした庭の構造において生じてしまう問題点を一定程度解決するものであり、その構造はむしろ庭の構成物を近距離でみることに、より魅力を増すものでもある。近景ゆえに落葉樹を主体とした雑木の細...
庭のデザインと雑木の庭2
現在、私が多く手がける庭に雑木を使い野山の景色を切り取ったかのような、いわゆる雑木の庭があります。 前述したように、私自身としてはその場の必然より導きだされたデザインや構成に基づいて庭づくりを考えていますが、私の実際の庭づくりにおいても、また現代における都市部の庭づくりにお...
庭のデザインと雑木の庭1
私はよく弟子たちに「庭のデザインはその場の必然性で7割は決まる」というようなことをいっているように思います。もちろん、7割というのは私の個人的な感覚であり厳密な意味でははありませんし、何をもって必然というのか?というものは個々人の物事のとらえかたによって大きく変わるものでは...
庭職考
庭職というものはある意味、真っ当ではない職人だと思う。 別の言葉で言うと職人と呼ぶには生業自体が曖昧で評価を定めづらい職種だと思う。 何かの映像や本などの中で、数ミリ単位のこだわりで轆轤をひく木地師や絹糸を気が遠くなるような精密さで織り上げる機織職人や、私達庭職が日々使う鋏...
祖父の形見
柳緑花紅。 私の部屋には書を趣味としていた祖父が書いた言葉が額に入れられ飾られています。言葉の意味はその字のごとく柳は緑に、花は紅に、ものごとは自然にあるがままに。 シンプルですが、ものごとの在りようについて深く、そしてすがすがしさとおおらかさを感じる言葉です。...